音楽へのひとめぼれは、ラジオが最適かもしれない
街中で流れる曲に、ふと心を奪われることはないだろうか。
メロディが耳に入ってきた瞬間、意識が持っていかれる感覚。
だれの曲だろう、なんて言う題名だろう、知りたい欲がどんどん出てくる。だって手掛かりがないと、もう二度と出会うことは出来ないから。ひとめぼれと同じ。
私には、ひとめぼれして、探して探してやっと知ることができた曲との思い出がある。
マルーン5 “She Will Be Loved”
テレビのCMで流れていた。美しくて静かで、日常からふっと違う世界に飛んでいくような気がした。何回かCMを見て、一瞬映るクレジットにて”マルーン5“という手がかりを手に入れた。
いざCDを手に入れて歌詞を読んだり、YouTubeでミュージックビデオを観たりすると、最初に感じた世界観と大きく違って衝撃をうける。
普通にテレビなどで見かけていたら、最初の印象は無かったかもしれない。
エリック・クラプトン “Change the World”
夜の定期便でおなじみのラジオ、ジェットストリームで流れてきた。
仕事終わりに家に着いて、ちょうど車のエンジンを切ったときにギターの旋律が聴こえてきて、静かな闇の中で聴き入っていた。歌詞がシンプルで、可愛らしくて愛おしくて、ぐんぐん希望のようなものが湧いてくる。ギターの技術なんて気にしたことがなかったのに、ギターソロが心地よくてたまらない。ひとつひとつの旋律を息を凝らして聴いていた。
ちなみにジェットストリームでは何の曲を流したかがサイトに書いてあるし、サビが分かるから題名もすぐ分かり、苦労せず知ることが出来た。
ハンバートハンバート “おなじ話”
これはだいぶ前の話。学生の頃にラジオから流れてきたと思う。
実はまだ、あの時の歌がこの曲だと断定できない。たどり着くまでに長い時間がかかった。
当時は手軽に携帯で検索することも出来なかったのだ。曲名を先に言っていたのかどうか、聞いて「お!」と思った後も、パーソナリティが曲の紹介をすることはなく、迷宮入りしてしまった。
手がかりは女性と男性のボーカルが会話するように交互にフレーズを歌っていて、他はギターだけという事。結局、何年も後でラジオで『おなじ話』がたまたま流れて、聞いた時に「あの時の!!」となった。
今でこそハンバートハンバートはCM曲もやっているが、また出会えたことは奇跡だと思っている。
バックナンバー “高嶺の花子さん”
季節はまだ春で、よく晴れた昼下がり。車に乗っているとラジオから聞こえてきた。
メロディの爽快感と、歌詞の可愛らしさに一気に引き込まれた。で、曲名が「高嶺の花子さん」と知った時の愉快さと。
この曲の舞台が夏だから、その後に『ヒロイン』『クリスマスソング』がヒットしても、私の中ではバックナンバーと言えば青春。青々とした季節〜夏のイメージだ。
かつてテレビの音楽番組も好きだった。画面からミュージシャンの情熱が伝わってくるし、カメラワークはかっこいいし、アーティストの奇抜な格好は目を楽しませてくれる。
でもテレビで出会った曲は、今わたしの中に残っていない。
いつ出会ったのかも、出会った瞬間の感動も、覚えていない。
テレビは、最初から知りたい情報が詰め込まれている。なんならアーティストのマイブームとかも分かる。
だが始めの段階ですべて知らされてしまっては、お腹いっぱいになってしまう。肝心の音が聴こえてこない。
その点ラジオは、情報が音だけに絞られる。
いいじゃないか、本来音楽は耳で聴くものだ。
そしてラジオは、現在のヒット曲だけでなく往年の名曲、洋楽もかかる。自分の意図しない時に知らない曲と出会うドラマチックさに、心が奪われる。
秋の夜長にラジオはどうですか。