頭文字Gとの戦いが終わりました
【閲覧注意】頭文字Gの画像は出てきませんが、想像力豊かな人はご注意下さい。
〜今から書くのは、頭文字Gとの戦いの全貌である〜
家に帰り部屋の電気をつけると共に、戦いの火蓋は切って落とされた。
壁に、頭文字Gがいたのだ。
頭文字Gを見とめた瞬間思わず声がもれ、必死に心を落ち着かせる。
頭文字Gは、すぐに仕掛けて来るようなことはせずに触角をゆらゆらさせている。
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作戦
10年ほど前にも、頭文字Gとの戦いに明け暮れていた時があった。その頃はお互いに瞬発力を武器にしており、力はほぼ互角だった。しかし体格の良さを生かして、最後には辛うじて、私は頭文字Gを上回ることが出来ていた。
だが今は、私の瞬発力も腕も鈍っている。悲しいがここは正直に認め作戦を立てよう。
相手を恐れない頭文字G。
彼を倒すには、武器である瞬発力を封じ込めなければいけない。
何か、何かないか。すばやい彼にダメージを与えられる何か。
考えは次第に、ドラッグストアで殺虫剤を買ってくる方法に絞られていった。
だがすぐに出かけはしない。もう夜も更けている。店に行ったはいいものの、閉まっていたという事態は避けたい。
なにより出かけている間に頭文字Gが身を潜めてしまうと、圧倒的にこちらが不利になる。姿をとらえるまで直接攻撃が出来なくなるし、また奇襲をかけられる可能性が非常に高い。
睨み合っているこの状態から先手を打ちたい。
ちなみにここまで、頭文字Gは目立った行動をしていない。どうやらこちらが大きな声を出さず、攻撃もしないならば、じっとしているようだ。
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アイテム発動
殺虫剤を置いている近所の店をネットで調べ始めた時、ふと棚に置いてある『ノーマットスプレー』に目が止まった。
今夏、数々の蚊を撃ち落としてきた威力を思い出しながら、ぷしゅ、と空中にスプレーする。霧は頭文字Gに届く前にかき消えた。
頭文字Gは微動だにしない。
当たり前だ。「蚊に効く!」とでかでかと書いてある。
再びネットで頭文字Gに勝つ方法を調べる。
そうしているうちに、頭文字Gが動き始めた。壁の上を右回りにくるくると歩く。少し移動し、またくるくる回る。さっきまでは隅に沿って直線で歩いていたのに、様子がおかしい。そしてそんな様子もすごく気持ち悪い、さすがの頭文字G。
ノーマットの成分を確認した。
有効成分:トランスフルトリン
・昆虫、魚などに対する選択毒性を持つ
・神経系に作用する
はて、と思う。頭文字Gも昆虫だ。そしてあの動きは、神経に作用しているからではないのか。
いやいや、蚊と頭文字Gでは体格が違う。こんなちっちゃいスプレーで頭文字Gに対抗できる訳がない。頭文字Gに効くのはもっとごつくて、吹き出し口にストローが付いてて、風圧で頭文字Gがふっ飛ぶくらいの威力を持っているスプレーだろう。
と思いつつ、もう一度ぷしゅ、と噴射する。
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接戦
突然、頭文字Gが飛んだ。
その姿に、ひいいと情けない声がもれる。頭文字Gは激しく体をぶつけながら、開いていたドアから廊下に出た。
と思ったらまた居間に入ってこようとするので、再度ノーマットスプレーを噴射し、ドアを閉じる。向こうでは頭文字Gが体を打ち付けて飛び回る音が聞こえる。
戦っていない、逃げているだけではないか、と言わないでほしい。
私はこの時には、ノーマットスプレーは頭文字Gに効いていると確信していた。そして追い詰められた時の頭文字Gこそ、やっかいなのだ。
しっかりと体力を使わせ、弱った時を狙う。
しばらく経ち、廊下からの音が聞こえなくなった。恐る恐るドアを開け、頭文字Gを探す。やはり、頭文字Gの姿を見失う恐怖はでかい。
頭文字Gなら瀕死でも身を隠すのではないかと思ったが、予想に反して床にゴロンと寝転んでいた。必死に動かしている足は、宙を掴んでいる。
ここに来て、私の中に躊躇が生まれる。
トドメを刺さなければならない。だが、(気持ち悪くて)できない。
キモイキモイキモイキモイ・・・
いつもなら自粛する言葉を頭文字Gに浴びせながら、ビニール袋の中に移動させ、そっと口を閉じて、上から空き瓶で叩いた。
ふう。
やはり直接対決しなくてよかった。躊躇があると頭文字Gには絶対に、絶対に勝てない。
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戦いを終えて
今回は完全に頭文字Gの奇襲を許してしまった。責められても仕方がないのだが、私は頭文字Gとの戦闘のために、何も準備をしていなかった。
だが、結果的に私は勝利を収めることが出来た。
丸腰だった私にとっての思いがけない武器。
アースノーマットスプレー
蚊だけでは無く、昆虫全般にダメージを与えられる。もし今後、虫で困ることがあれば、ドラッグストアでこのドラえもん色を探してほしい。
ただ、頭文字Gを即死させるのではなく、じわじわ追い詰める系のアイテムだ。
自暴自棄になった頭文字Gとどう戦うか、考えておくのをオススメする。